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X線残留応力測定 概要

金属・セラミックス・薄膜材料等の残留応力解析は、品質保全や製品開発に役立ちます。
当社では可搬型小型X線応力測定装置(μ‐X360)・微小領域X線回折装置(リガク製:SmartLab)・高分解能X線回折装置(リガク製:SuperLab)等を用いて、多様な測定法(並傾法、側傾法、侵入深さ制御法、配向方位法、2D 法等)で対応します。

残留応力とは

残留応力とは、外部から力が加わっていない状態でも、材料内部に残っている応力のことです。

溶接、切削、研削、塑性加工、熱処理、表面処理などの工程では、材料内部に不均一な変形や温度差が生じることで、加工終了後にも応力が残る場合があります。

残留応力には、大きく分けて「引張残留応力」と「圧縮残留応力」があります。

引張残留応力は、疲労亀裂や応力腐食割れなどの発生・進展に影響する場合があります。一方、表面に適切な圧縮残留応力を付与することで、疲労特性の改善を図る表面処理もあります。

製品の強度・寿命・寸法安定性を評価するうえでは、材料内部に残る残留応力を把握することが重要です。

引張残留応力亀裂・疲労・SCCへの影響
圧縮残留応力亀裂進展を抑える方向に作用する場合

残留応力が発生する主な原因

残留応力は、製造・加工工程における不均一な変形や温度変化によって発生します。

<溶接>

溶接部が局所的に加熱・冷却されることで、膨張・収縮が不均一となり、溶接部やその周辺に残留応力が生じます。

<切削・研削などの機械加工>

加工による塑性変形や加工熱によって、材料表面や加工層に残留応力が発生する場合があります。

<熱処理>

焼入れや加熱・冷却時の温度差、相変態などによって材料内部に応力が残ることがあります。

<塑性加工>

曲げ、プレス、圧延などの加工では、部位ごとの変形量の違いによって残留応力が生じます。

<表面処理>

ショットピーニング、コーティング、めっきなどによって、表面層に意図的または副次的な残留応力が形成される場合があります。

  • 腐食
  • 腐食形態
  • 重量変化
  • 腐食速度
  • 耐薬品性

残留応力が製品に与える影響

残留応力は外観から確認できない場合が多いものの、材料や製品の品質・信頼性にさまざまな影響を与える可能性があります。

<変形・寸法変化>

加工後や経時的に応力が解放されることで、反りや変形が生じる場合があります。

<疲労特性への影響>

繰り返し荷重を受ける部品では、引張残留応力が疲労亀裂の発生・進展に影響する場合があります。

<応力腐食割れ>

腐食環境と引張応力が重なることで、応力腐食割れ(SCC)が発生する場合があります。

<破損原因の一因>

材料強度や使用荷重だけでは説明できない破損について、残留応力が要因となっている場合があります。

クリアライズでは、残留応力測定を疲労・応力腐食割れ・変形などの予防や損傷原因究明に活用しています。

残留応力の主な測定方法

残留応力には、測定対象や知りたい深さ、非破壊で測定したいかどうかによって、複数の測定方法があります。

<X線回折法>

材料にX線を照射し、結晶格子の間隔変化から残留応力を算出する方法です。材料表面の残留応力を非破壊で評価できることが特長です。

<ひずみゲージ切断開放法>

測定位置にひずみゲージを貼り付け、周囲を切断して応力を解放した際のひずみ量から残留応力を算出します。

クリアライズでは、X線回折法による非破壊測定と、ひずみゲージ切断開放法による測定に対応しています。

測定方法特徴
X線回折法非破壊・表面測定
ひずみゲージ切断開放法破壊的・応力解放による測定
X線による残留応力測定の流れ

X線による残留応力測定の原理

X線残留応力測定では、材料内部の結晶格子の変化を利用して応力を評価します。

材料に応力が生じると、結晶を構成する格子面の間隔がわずかに変化します。

そこへX線を照射すると、結晶構造に応じた角度で回折X線が検出されます。応力がない状態と比較して回折角がどの程度変化しているかを測定することで、材料に残る応力を算出します。

X線回折法は、材料表面の残留応力を非破壊で測定できるため、加工・熱処理・表面処理の評価や破損原因調査などに利用されます。

X線残留応力測定 特長

現地測定が可能

可搬型小型X線応力測定装置(μ‐X360)は現地まで移動させることが可能であり、専門スタッフが現地で残留応力測定を実施いたします。

 

並傾法、側傾法、侵入深さ制御法、配向方位法、2D 法等による測定が可能

微小領域X線回折装置(リガク製:SmartLab)による測定では、50~500μmΦのビーム径にて局所領域の測定が可能です。また、高分解能X線回折装置(リガク製:SuperLab)による測定では、X線の侵入深さ制御した測定や、単結晶や強配向材料に適した配向方位法による測定も可能です。

  • 可搬型X線応力測定装置(MSF-3M)

    可搬型X線応力測定装置

  • 微小領域X線回折装置(リガク製:SmartLab)

    微小領域X線回折装置(リガク製:SmartLab)

クリアライズのX線残留応力測定でできること

クリアライズでは、試料や測定目的に応じて複数のX線応力測定装置・測定方法を使い分けています。

<現地での残留応力測定>

可搬型X線応力測定装置を用い、持ち運びが難しい構造物や設備について現地測定が可能です。

<微小領域の測定>

微小領域X線回折装置を用いて、50~500μmφの局所領域を測定できます。

<深さ方向の評価>

X線の侵入深さを制御した測定や、表面を逐次除去しながら測定することで、深さ方向の残留応力分布を評価できます。

<単結晶・強配向材料>

高分解能X線回折装置を用いて、単結晶や強配向材料に適した測定にも対応しています。

これらの方法を組み合わせることで、加工部、溶接部、表面処理部など、目的に応じた残留応力測定が可能です。

残留応力を低減・除去する主な考え方

残留応力を低減する方法は、材料や製品形状、発生原因によって異なります。

<熱処理>

応力除去焼鈍などによって、材料内部の残留応力を緩和する方法があります。

<表面処理>

ショットピーニングなどにより、表面へ圧縮残留応力を付与し、疲労特性の改善を図る方法があります。

<加工・溶接条件の最適化>

加工熱や拘束、冷却条件などを見直すことで、残留応力の発生を抑えることができます。

<設計段階での対策>

応力集中や過度な拘束を避けることで、製造時に残留応力が生じにくい構造を検討します。

対策の効果を確認するには、処理前後で残留応力を測定し、どの程度改善したかを定量的に評価することが重要です。

こんな課題で残留応力測定が活用されています

  • 溶接部にどの程度残留応力があるか確認したい
  • 切削・研削・加工後の表面応力を評価したい
  • 熱処理前後で残留応力が改善したか比較したい
  • ショットピーニングの効果を確認したい
  • 疲労破壊の原因を調査したい
  • 応力腐食割れの原因となる引張応力を確認したい
  • 製品の変形や寸法変化の原因を調べたい
  • 微小領域だけを局所的に測定したい
  • 設備や大型構造物を現地で測定したい
  • 深さ方向の残留応力分布を確認したい

X線残留応力測定 詳細

X線回折残留応力測定


1.概要

疲労・応力腐食割れ・変形等の予防や損傷原因究明などで幅広く利用出来る非破壊的手法

応力の発生により材料の結晶格子面間隔 (d)が変化します。そこにX線を照射しますと、回折角θで回折現象※が生じます。
この回折角θは応力の無い状態の回折角θ0からずれが生じてます。この変化を計測し、材料固有の特性値から応力を算出するものです
。

※:ブラッグの法則λ=2d sin θ エックス線回折の原理

2.特長

  • 材料・構造物表面の残留応力を非破壊で測定できます。(金属・アルミ・セラミックス等の測定が可能)
  • 表面から内部までの分布測定が可能です。(破壊法:電解研磨により表層を逐次電解研磨除去しながら測定)


3.主な用途

  • 加工応力やピーニング等の深さ分布測定
  • 熱処理など残留応力改善の効果確認
  • 疲労・応力腐食割れ等の破損原因調査測定

測定事例 ピーニングと熱処理効果の確認

4. 計測状況一例

汎用型X線残留応力測定装置

ほーたぷるX線残留応力測定装置

図3 溶接部の残留応力測定例

残留応力測定の活用例

ピーニング・熱処理前後の比較

表面処理や熱処理の前後で残留応力を測定し、処理によって応力状態がどのように変化したかを確認します。

溶接部の残留応力評価

溶接部およびその周辺を測定し、溶接による局所的な残留応力分布を評価します。

加工部の深さ方向評価

表面から内部にかけて残留応力がどのように分布しているかを測定し、加工・表面処理の影響を確認します。

残留応力測定を依頼する際のポイント

残留応力測定では、対象物や測定目的によって適した方法・条件が異なります。

ご相談の際には、以下の情報があると測定方法を検討しやすくなります。

  • 材料・材質
  • 製品や試料の形状・寸法
  • 測定したい位置
  • 溶接・加工・熱処理などの履歴
  • 表面処理の有無
  • 現地測定が必要か
  • 表面のみか、深さ方向まで知りたいか
  • 測定前後で比較したい処理条件
  • 発生している不具合や課題

測定方法が分からない場合でも、評価目的や対象物の状態から適切な方法を検討できます。

FAQ(よくあるご質問)

Q試料採取や試験片作製から依頼することは可能でしょうか?+

A可能です。試験片は材料が入手可能な場合は購入して製作、入手困難な場合は支給いただいて製作となります。

Q試験片の返却依頼は可能でしょうか?+

A可能です。支給品(残試料)および試験片を返却いたします。

Q立会試験は可能でしょうか?+

A可能です。お客様の事前登録のためお客様情報をご教示いただきます。

Qどのような測定方法がありますか?+

A測定位置に抵抗線ひずみゲージを貼り付けて、その周囲を切断することで切断片の伸縮ひずみ量を測定することで残留応力を算出する破壊法であるひずみゲージ切断開放法があります。また、測定部の極表面層(約10μm以内)をX線回折による残留ひずみの有無によるX線回折角のずれで残留応力を算出する非破壊でのX線回折法があります。

Q測定時間はどの程度でしょうか?+

Aひずみゲージ切断開放法は測定位置の数と対象製品の切断に要する時間によります。また、材質や測定領域によりひずみゲージを調達するために時間も必要になります。X線回折法は対象材の結晶状態によりX線回折強度により十分な回折時間を確保するために要する時間によりますが対象材料の結晶状態により数分から数時間となる場合もあります。

Q分布測定は可能でしょうか?+

Aひずみゲージ切断開放法は、ひずみゲージのベースのゲージレングスとベースサイズ、ひずみゲージ間を切断できる間隔が必要ですがひずみゲージを複数貼り付けることで分布測定は可能となります。X線回折法は10mm程度以内の測定位置をずらしながら測定することで分布測定は可能となります。

Q残留応力はなぜ発生しますか?

A溶接、切削・研削、熱処理、塑性加工、表面処理などによって、材料内部に不均一な変形や温度変化が生じることで発生します。

QX線残留応力測定は非破壊ですか?

A材料表面の測定は基本的に非破壊で行うことができます。深さ方向の評価では、表面を逐次除去しながら測定する方法もあります。

Q現地で測定できますか?

Aはい。可搬型X線応力測定装置を使用し、大型構造物や設備などの現地測定に対応しています。

Q熱処理やピーニングの効果も確認できますか?

Aはい。処理前後の残留応力を比較することで、改善効果を確認できます。

Q溶接部も測定できますか?

Aはい。既存ページでも溶接部の残留応力測定事例が掲載されています。

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