環境規制物質分析

米国TSCA関連規制物質含有調査

米国TSCA関連規制物質含有調査の概要

2021年1月6日に米国環境保護庁(EPA)は有害物質規制法(Toxic Substances Control Act)の第6条h項に基づき、難分解性、生体蓄積性および毒性を有する化学物質(PBT物質)を含有する製品および成形品の製造、加工および商業的流通を禁止および制限に関する規則を公表しました。クリアライズでは上記規制5物質の含有調査分析サービスを実施しております。

また、EPAはNMP(N-メチル-2-ピロリドン)について、2024年6月、有害物質規制法(TSCA)に基づくリスク評価でNMPが有害であると判明したため、曝露から労働者や消費者を守るための規則案を公表しました。消費製品の一部で濃度を規制することのほか、産業用途及び商業用途に関して職場における安全対策を義務づけるとしています。
*最終規則は2024年12月公布予定

米国TSCA関連規制物質

PBT物質(難分解性、生体蓄積性および毒性を有する化学物質)
*PIP(3:1)2024/10/31規制開始

物質名

CAS No.

濃度規制(閾値)

主な用途

測定方法

備考

デカブロモジフェニルエーテル
(DecaBDE)
1163-19-5 繊維製品、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル等の添加難燃剤 GC-MS POPs条約、REACH規則、化審法(第1種特定化学物質)で規制
リン酸トリス
(イソプロピルフェニル)(PIP(3:1))
68937-41-7 塩ビ製品の難燃性可塑剤、接着剤、塗料、インクなど LC-MS 2024年10月31日までは 成型品の加工及び流通は可
ペンタクロロチオフェノール
(PCTP)
133-49-3 閾値1wt% 有機ゴム薬品(素練促進剤) GC-MS
ヘキサクロロ-1,3-ブタジエン
(HCBD)
87-68-3 溶媒 GC-MS POPs条約、化審法(第1種特定化学物質)で規制
2,4,6-トリーtertーブチルフェノール
(2,4,6-TTBP)
732-26-3 酸化防止剤、燃料等の添加剤、自動車や機械のメンテナンスオイルや潤滑剤など GC-MS POPs条約、化審法(第1種特定化学物質)で規制
対象の5物質のうち、塩ビ製品の難燃性可塑剤や接着時、塗料などの用途として使用されているPIP(3:1)については、
2024年10月31日以降、含有する成型品の加工、商業的流通が規制されます。
特に米国への輸出の際は、含有されていないことを確認する必要があるため注意が必要です。
規制準備物質

物質名

CAS No.

濃度規制(閾値)

主な用途

測定方法

N-メチル-2-ピロリドン(NMP) 872-50-4 洗浄剤や剥離剤、溶媒等 GC-MS

分析方法

【調査の流れ(一例)】

〇 PBT5物質 分析




ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)
〇 NMP 分析
NMPとは・・・N-メチル-2-ピロリドン。ラクタム構造を含む5員環構造を持つ有機化合物で、極性が大きくほとんどのアルコールやエーテル、芳香族炭化水素などの有機溶媒とよく混ざる。

主な用途・・・ワックスやフラックス除去、電子部品や半導体部品の洗浄、半導体レジスト剤、反応溶媒など

調査対象品から、溶剤抽出やヘッドスペース法を用いてNMPをガスクロマトグラフ(GC)に導入、定量分析を行います。また、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)を用いることで、ごく低濃度の残留量を評価や、数種類の溶剤が混在する場合の濃度評価が可能です。

評価実績:リチウム電池部材での残留量、樹脂製品中濃度