析出物や異物の分析調査を行う場合、その試料が僅かな量しか確保できないことが多くあります。そのような痕跡程度の試料の場合でも、微細な領域を測定するための分析装置を使用することで、目的のデータを得ることができます。また、形状観察と同時に元素情報を取得することにより、観察面の線分析や面分析が可能です。
金属材料やプラスチック材料など均質な平面がある場合は、蛍光X線分析による定性分析・半定量分析が可能です。比較的大きな面を分析対象とすることから、精度のよいデータが得られます。
微細領域を観察する際に、観察領域がどのような元素で構成されているかを確認するために、エネルギー分散型X線元素分析装置を用いて定性分析を実施することができます。また、それぞれの元素の分布状態を確認するために、線分析・面分析を行うことができます。
オージェ電子分光法とは、細く絞った電子線を固体表面に照射して発生するオージェ電子のエネルギーと 数を測定することにより、固体表面数nmに存在する元素の種類(Li~U)と量を同定する方法です。
2. 特長
極薄膜や微小部の組成分析、金属多層膜の評価、膜厚評価、各種プロセス異常の原因調査
図2を参照下さい。なお、以下に示したサイズ以外でも測定が可能な場合がありますのでご相談下さい。
図1 分析装置の外観写真と装置仕様
図2 試料の最適サイズ(単位:mm)
図3 AESによる定性分析結果
図4 AESによる面分析結果
試料に電子線を照射すると。二次電子や反射電子、特性X線などが発生します。SEMは二次電子や反射電子を検出し、試料の表面形状を観察します(SEM像、反射電子像)。二次電子及び反射電子信号の混合比を制御して目的に合った画像観察が得られます。SEM像や反射電子上の任意箇所、或るいは同一領域で発生した特性X線を分析することにより、構成元素や元素分布のようすを観察することもできます(EDX)。
BSE変換電極に印可する(-)電圧を制御することにより、二次電子と反射電子の混合比を自由に変えられることができます。これらの信号比を制御することがSuper ExBの特徴です。
① フリップチップはんだバンプの不良部観察
② リチウムイオン電池正極断面
蛍光X線分析(XRF;X-ray Fluorenscence Analysis)は、試料に一次X線を照射し、試料から放射される元素固有の波長を持つ二次X線(蛍光X線)を元素毎に分光し、その強度を測定することによって元素の定性分析や定量分析ができます。
鉄鋼試料の分析
鉄鋼標準試料を蛍光X線法により分析した事例を図1に示します。
スペクトル横軸の2θの値から検出元素を帰属しています( Rh-KA線及びRh-KB1線はX線源に起因するスペクトルピークです)。また、スペクトル縦軸の検出強度の値から検出元素を定量分析しています。定量値は、検出された元素のピーク強度と各元素毎の感度ライブラリーを用いて、ファンダメンタルパラメーター法( FP法) により算出したものです。
表1に、蛍光X線法による定量分析結果と化学分析値を比較した結果を示します。既知の化学分析値とほぼ同じ値が得られています。
図1 鉄鋼標準試料の蛍光X線スペクトル
表1 鉄鋼標準試料の定量分析比較