電池

全固体電池性能評価試験

2030年代の主役は、全固体電池!

全固体電池の分析・試験

クリアライズでは、全固体電池を大気非暴露環境下においてサンプリングを行い、電子顕微鏡(SEM・STEM)による形態観察、X線回折(XRD)や核磁気共鳴(NMR)による構造解析、X線光電子分光(XPS)やオージェ電子分光(AES)による表面分析など、豊富な装置ラインナップにより目的に応じた複合的評価を実施いたします。
また、電池の基本特性である電気化学試験(インピーダンス計測)も評価可能です。

クリアライズが取り組むイオンダイナミクス解析

イオンダイナミクスとは?
 物質内のイオンの運動や挙動のことを指し、二次電池の中でも特に全固体電池を構成する固体電解質では、イオンがどのように物質内を移動するか(拡散係数や伝導度)は、電池の寿命や充電速度に大きく影響するため、イオンダイナミクスを理解することは、次世代電池を開発する上で非常に重要な鍵となります。


~ 硫化物固体電解質 LPSC(Li6PS5Cl)評価事例 ~
【1】 イオン伝導度評価(電気化学インピーダンス分光法)
 電気化学インピーダンス分光法に対応したポテンショ/ガルバノスタットを用いた固体電解質(圧粉体)のイオン伝導度、更に異なる温度で計測することで活性化エネルギーを評価


【2】 イオン伝導度評価(PFG-NMRによる拡散係数測定)
 核磁気共鳴分析装置(NMR)を用いた固体電解質中のリチウムイオンの拡散係数と緩和時間、更に異なる温度で計測することで、活性化エネルギーを評価


【3】 Liイオンの拡散シミュレーション
LPSCの結晶モデルによるLiイオンの拡散シミュレーション (赤:リチウム(Li)黄:リン(P)灰:硫黄(S)青:塩素(Cl)


シミュレーションを実装したイオンダイナミクス解析


固体電解質におけるイオンダイナミクス解析として、電気化学インピーダンス分光法、PFG-NMR(パルス磁場勾配核磁気共鳴)による拡散係数評価、拡散シミュレーションを組み合わせることで、マルチスケールでのイオンの動き(イオンダイナミクス)を評価することができます。

固体電解質(LPSC)の化合物種同定・構造解析

加熱条件下や大気非暴露環境での計測評価が可能!

当社ではX線回折法を用い、固体電解質中の化合物種同定や結晶構造解析(格子定数・結晶粒径・結晶化度・配向状態・ 歪み・残留応力)、薄膜積層体の層構造解析(膜厚・密度・ラフネス)、ナノ粒子の粒径分布解析が可能。
また、加熱条件下や 大気非暴露下での評価も可能であり、各種環境下でも高精度な格子定数が解析できます。

固体電解質(LPSC)のX線回折

  • 気密試料台(Ar雰囲気)

  • LPSC:Li、P、S、Cl
    固体電解質は(株)ケミトックス殿より提供いただきました

ピーク解析結果
※格子定数:最小二乗法により算出
結晶系、空間群 格子定数(nm)
Cubic,
F-43m (216)
0.9858
(0.00006)

正極活物質(NCM811)の固体表面分析

微小・薄膜領域の分析評価が可能!

オージェ電子分光法(AES)では、ナノメートルオーダーの高空間分解能による固体表面の元素情報や、イオン銃によるスパッタリングを併用することで深さ方向の元素情報が取得できます。
今回はAESにより2種(コーティング有無)の正極活物質粉末について元素マッピング像を取得し、両者を比較しました。
その結果、コーティング有のサンプルからは、厚さ数nmのコーティング層※由来の元素であるB(ホウ素)が明瞭に観察されました。
※コーティング層:ホウ酸

正極活物質(NCM811)のAES分析

  • オージェ電子分光分析装置

  • NCM811(コーティング有:上段、コーティング無:下段)の
    二次電子像と元素マッピング

    NCM811:LiNi₀.₈Co₀.₁Mn₀.₁O₂
    正極活物質は(株)ケミトックス殿より提供いただきました