近年、材料や製品の微細化に伴い、原子レベルでの構造や組成の分析・評価が重要視されています。
これらの分析・評価には、走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)が広く用いられています。
クリアライズのHD-2700形STEMには、レンズの球面収差を補正する球面収差補正器(Cs-corrector)が搭載されており、材料やデバイスの構造、組成、化学結合状態を高いレベルで測定(STEM分析)することが可能です。
・球面収差補正 走査透過電子顕微鏡(STEM)
・透過電子顕微鏡 (TEM)
・集束イオン/電子ビーム加工観察装置(FIB-SEM)
【STEMによるGaN(窒化ガリウム)分析事例】
上事例に示した高分解能STEM分析では、AlGaN/GaN界面においてAlの濃化が確認されていますが、この濃化部においては、格子歪の影響で明瞭な格子像が観察されていません。通常のFIB加工ではダメージと区別が付かない試料の格子歪も、冷却FIB加工やArイオンミリング加工により、試料本来の結晶構造を把握することが可能です。
詳しくご覧になりたい方は、「技術資料ダウンロード」ページより
(物性評価)「GaNパワーデバイスのSTEM分析」をダウンロードください。
球面収差補正器搭載によって原子レベルの高分解能で、明視野STEM像、環状暗視野STEM像、二次電子像が取得可能です。
大口径100mm2SDD*2によって、微小領域、微量元素の高感度EDX分析が可能です。
冷陰極電解放出形電子銃とDualEELSの組み合わせによって、高エネルギー分解能で高精度なEELS分析に対応、組成分析や化学結合状態の評価が可能です。
事前に準備した薄膜試料、もしくは当日お持ちいただいた試料を用いて、半日・一日単位の立会い分析が可能です。熟練したオペレーターの操作で、試料状況を確認しながら、観察・分析箇所や各種条件の指定ができます。 なお、当日測定したデータは、即日お持ち帰りいただけます。
(株)クリアライズ受託分析サービス紹介「STEM分析」
燃料電池などに用いられる貴金属触媒は、数nmの微粒子で形成されています。図3は、コアシェル構造を持つ触媒粒子のSTEM像、SEM像およびEDXマッピング分析をした結果です。PtコアPdシェルの元素分布が明瞭に観察されています。
また、図4に示すようなEDXライン分析によって、強度比を測定することも可能です。
球面収差補正器を使用することで、大きな収束角度で微小な電子線プローブが得られます。さらに、大口径SDDとの組み合わせで、原子レベルのEDX分析も可能です。 セラミック材料であるSrTiO3の結晶構造モデルを図5に、SrTiO3<110>方向のEDXマッピングの分析結果を図6に示します。環状暗視野STEM像で観察された原子列について、組成情報を把握できます。