機能性材料

樹脂系放熱材分析試験

樹脂系放熱材料のReverse Engineering

 

はじめに


樹脂系放熱材の分析・試験

高密度化する電子製品や、高温下で動作する製品を正常にコントロールするためには、適切な温度制御が重要になります。
そのためには、さまざまな分野で使用される「放熱材」を用途に合わせて選択する必要があります。
一般的に放熱材は主成分としてシリコーン系材料が使用されますが、必要な機能を実現するために、主成分以外にもさまざまな添加剤が含まれています。
放熱材を十分に活用するためには、配合されている成分の組み合わせを知ることが重要となり、このための成分分析が不可欠となります。
また、正確な成分分析を行うためには、高性能な分析装置を使用するだけでなく、配合成分の特性を理解し、精密な成分分離技術を組み合わせることが効果的です。
以下では、異なる耐熱温度を持つ2種類の放熱材について、溶剤分別による成分分離法を併用した分析事例を紹介します。

適用範囲


対象材料


・シリコーン系放熱材及びその他の樹脂系材料中のマトリックス樹脂、改質添加剤、無機フィラー等

分析事例①


シリコーン系放熱材は、有機物と無機物が混合された材料です。
有機物の主成分はシリコーンレジンで、代表的な構造としてポリジメチルシロキサン構造があります。
このポリジメチルシロキサン構造を何らかの変性を加えることで、放熱材としての特徴的な性能を付与することができますが、その変性量は一般的に少ないため、変性に関する化学構造情報を得るためには様々な工夫が必要です。

分析事例②


弊社では、今回ご紹介するシリコーン系放熱材以外の樹脂材料についても、分析目的に応じてマトリックス樹脂や改質添加剤、無機フィラーについて適切に分離および分析を行っております。
是非、お気軽にお問合せください。

分析事例③


SEM-EDXとXRDを併用し、無機フィラーを精密に同定できます。

樹脂系放熱材とは


樹脂系放熱材は、高温環境下での熱を効果的に伝導・放散するために使用される材料です。
これらの材料は、高密度化した電子製品や設備機器など、熱の発生が多い場所で使用されます。


主な特徴


熱伝導性

樹脂系放熱材は、高い熱伝導性を持つことが求められます。熱を素早く伝えることで、電子機器や設備の熱を効果的に放散する役割を果たします。

高耐熱性

樹脂系放熱材は、高温環境下でもその機能を維持する必要があります。
耐熱性が高いため、放熱材としての性能を維持し、材料自体が劣化することなく長期間使用することが可能です。

電気絶縁性

樹脂系放熱材は、電子機器や設備機器の内部で使用されるため、電気絶縁性も重要です。
電気を遮断し、絶縁を保つことで、機器の安全性を確保します。

機械的強度

放熱材はしばしば機器内に組み込まれるため、機械的な強度が必要です。
樹脂系放熱材は、剛性や耐衝撃性などの機械的な特性を持ち、機器内での安定性を確保します。





主な用途


電子機器

樹脂系放熱材は、電子機器や半導体デバイスの冷却に広く使用されています。
高い熱伝導率を持つ樹脂材料は、電子部品の熱を効率的に吸収し、放散することができます。
例えば、コンピュータやスマートフォンの基板上に配置される放熱パッドや放熱シートに使用されます。

LED照明

LED照明は長時間の使用で熱を発生するため、効果的な放熱が必要です。
樹脂系放熱材は、LEDチップとヒートシンクの間に使用されることがあります。
放熱材は熱を効果的に伝導し、冷却効果を高めるため、LEDの寿命や性能を向上させます。

自動車産業

自動車においても樹脂系放熱材は重要な役割を果たしています。
エンジンやブレーキなどの高温部品の周りに放熱材を配置することで、熱の効率的な除去が行われます。
これにより、自動車のパフォーマンスや信頼性が向上します。

太陽光発電

太陽光発電パネルは長時間の使用で熱を発生します。
樹脂系放熱材は、太陽電池の裏側に配置され、熱を効果的に伝導・放散することで、効率的な発電を促進します。